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大学院生のブログ

人生まるごと今後の課題

オタクのファッション問題について

ファッション

最近、オタクのファッションを(自虐的に)あげつらうコンテンツが増えてきた。*1

たとえばこの記事でまとめられているような、「偉そうな発言をしたあとに(アディダスの財布)(駿足)などをつける構文」などはそれだろう。なお、この記事の本題である「オタクは本当にアディダスの財布を使っているのか?」についてもとても楽しく読めるので、この記事はおすすめ。

eicear.hatenablog.com

この「構文」では主に男性のオタクが槍玉に上がっているが、もちろん女性のオタクを対象にしたコンテンツもある。

たとえば「ミラクルニキ」というゲームで「オタサーの姫」を再現する遊び。

同じく「ミラクルニキ」で、オタク女コーデをする遊び。

たとえばちょっと前にバズった、「オタク女の教えるほんとうのオタク女ファッション」というPDF(現在は削除)。

正真正銘のオタクである私は、こう、怒っているんだか悲しんでいるんだか判然としない心理状態になる。いや、もう、なんというか、勘弁してくれよ。いい感じのボンレスハムになりながらオーバーニーソックスを履いていた頃の記憶が蘇る。なんならそのまま、オーバーニーソックスで首を吊って死にたい。殺してくれ。

解決策を出せ

しかしまあ、首を吊るのはやめて、ちょっと考えてみることにしよう。

「オタクのファッションがダサい」というのは、何故だか知らないがもはや常識のようになっている。「太陽は東から昇る」「水は酸素と水素から成る」「オタクのファッションはダサい」的な感じで。まあ実際そうだよ。ダイエーの2階から抜け出してきたような人、なぜかエセパンクロッカーみたいになってる人。いろいろいるけど、少なくともファッションの本流ではない。

でもちょっと待ってほしい。じゃあ一体、どうすればいいんですかね?私の服装がダサいのは分かった。私がブスなのも、OK。じゃあどうすればいいんだよ。今まで通り、汚いセーターにジャージを合わせ、マフラー代わりに毛布を巻き、東大路通を「アンパンマンスタイル」で歩けばいいのか?違うだろ。改善策を提示しろ。文句垂れるだけなら誰にだってできるんだよ!!

ファッション攻略Wikiをくれ

今やどんなゲームにも「攻略サイト」なり「攻略Wiki」なりが作成されている。みんな大好きCookie Clickerにももちろんある。だから私は、今ここでAccendしようかどうしようか……ってな問題に悩まなくて済む。

しかしファッションはどうか?みんな大好きインターネットで検索してみよう。

「xxの服買ってるとか学生かよwwダセエwww」
「は?ふざけんな。上級者はあえてのxx、高級品にこだわるお前がザコ」
「つか顔だろwwww外人が着りゃユニクロでもイケてんだよ」
「ところでガッキーは可愛い」

アアアアア使えねえ!!!変なマウンティングしか目に入らねえ!!

違うんだよ。私が求めてるのは初心者指南。先生同士で勝手に場外乱闘を始めないでほしい。学会の質疑応答かよ。

あとガッキーが着ればそりゃ何でも可愛いよ。何なら京都市指定ゴミ袋を被ってたって可愛いよ。そんなの「太陽は東から昇る」「水は酸素と水素から成る」くらいの常識だろ。
違う!!世の中の人間のほとんどはガッキーじゃないねん。ガッキー以外ガッキーじゃないの!!だからもっと、こう、頼みますよ!!

現代ファッション、複雑すぎ問題

というわけで、怒れる私はいろいろと調べてみることにした。現代を知るには、まず過去を知ることだ。19世紀末ごろから、ファッションの歴史を見てみることにしたのである。

それでわかったのだが、そもそもファッションがこんなにも「難しい」ものになったのは、けっこう最近のことらしい。

無理やり乱暴にまとめると、昔は

パリ → 富裕層 → 民衆

ってな感じで、トップダウン的に流行が作られていた。とにかく、パリで発表されたデザインがおしゃれ。それに従っておけば「イマ風」。そういう構図だ。*2

ところが今はそういう感じではない。今でもパリは影響力のある都市だけれど、ニューヨーク・ミラノ・ロンドン・東京といった、ほかの「流行発信地」もできた。
それぞれ毛色が違っているので、この時点で、5つの系統からのチョイスを迫られることになる。5択だよ。無理。私に理解できるのは、せいぜい乙女ゲーにおける三択までだもん。

おまけに最近は、Instagram発の流行など「ボトムアップ方式」の流行も増えた。
「流行発信地」からの情報を待つだけでなく、個々人がいいと思ったものを勝手に発信する。それがバズって流行になる。そういう流れは、今ではもはやトップダウン方式よりも優勢になりつつある。

そうなると、何が起こるか?情報の氾濫だ。

プチプラ(安価)で可愛く着こなす!オトナはやっぱり鞄にこだわる!
女のコっぽさで彼のハートをズキュン!!「女らしさ」はもう古い!!
メイクはやっぱり目ヂカラ重視!!ガッツリメイクはもう古い!!オトナはリップで勝負!!あえてのチークは入れないナチュ感のある抜けメイクが必要!!
………………etc………………etc…………………………

いい加減にしろ!!!!!!

あっちこっちでピーチクパーチク、それぞれが好き勝手なことを言っている。無数に選択肢を投げつけた上で、「さあ選べ!!」と迫ってくる。

そう、これが「現代」のファッションだ。

トップダウン方式に流行を押し付けられるのではなく、「自分らしさ」を重視して、無数の選択肢から選んでいく。それが「現代」ファションでは求められる。ゲームにたとえるなら、メチャクチャ自由なオープンワールドみたいなものだ。

オープンワールドは、ゲーム上級者にとっては「自由度が高くて長く楽しめる」ものかもしれない。けれどもこちとら、この間までコントローラーを握ったことすらない。AボタンとBボタンの区別すらついてないような状況で、オープンワールドを楽しめと言われても……。ちょっと難しいように思う。

ファッションは誰のためのものか

楽しめないゲームは投げ出すしかない。だから同じように、ファッションを投げ出した人は多いはずだ。だって複雑すぎるもん!いきなり「自分らしさ」とか言われたって、分かるはずがない。

しかし、ゲームなら遊ばなくても問題ないのに対して、ファッションに関しては、投げ出すとちと困ったことになる(場合がある)。
具体的には、恋愛状態に自分を置きたい場合、とか。就活とかで、「カッチリしすぎないフォーマル系で来てね」と指定された場合、とか。

この記事でも書いたように、ファッションは基本的に「自分のため」のものだ。
普段は「自分のため」に生きればよいから、極端な話、365日おんなじ服を着ていたって問題ない。それは立派な「あなたらしさ」だし、ダサいと言われようがなんだろうが貫いてほしい。それを責める権利は誰にもない。

しかしながら365日の中には、たまに「世間のため」に装う日だって出てくる。たとえば友人の結婚パーティー。ここでの主役は「自分」ではなく、「結婚をする友人」だ。そうなると、「一年中、ふんどし一丁!これが俺のスタイルだぜ!」とはちょっと言えなくなる。なるべく無難に。なるべく目立たず。ワンオブゼムになる必要が出てくる。

そういったとき、「無難なファッション」についての知識がまったくゼロというのはちょっとまずい。だからやっぱり、知っておくのは悪いことではない、と思う。

私なりの解決策

というわけで、ファッションについて知ることの妥当性について確認した。書きながら自分の過去の服を思い出して、若干心臓のあたりがつらい。真っピンクのワンピースに、ベロアのボレロとか合わせて高校行ってましたからね。制服なかったんですよ、高校。

で、次は解決策を書こうと思うのだが、自分でいちから書くのはつらい。そういうわけで、今日のところは参考になった本を一冊、紹介するだけにとどめておこうと思う。
高村是州『ファッション・ライフのはじめ方』(岩波ジュニア新書)だ。

ファッション・ライフのはじめ方 - 岩波書店

この本はジュニア新書というだけあって、かなり平易な文体で書かれている。想定読者は中学生か高校生くらいだろうか。1時間くらいでサラッと読めるうえ、ファッションにおける基本ポイントを(ある程度)網羅的に抑えてあるので大変うれしい。

個人的には、第1章の導入部分がとても良かったと思う。第1章は「そもそも、ファッションって、なに?」という章なのだが、Q&A方式でよくあるギモンに優しく答えてくれている。たとえばこんな調子だ。

Q そもそも、「おしゃれ」って、なに?
A 服を着こなして、素敵になることです。

Q ファッションは、カッコいい人だけがすることじゃないの?
A 逆です。カッコいい人がするのではなく、あなたがカッコよくなるためにするのです。

Q じゃあ、「カッコいい」って、なに?
A 大きく分けて2つあります。容姿が優れていることと、自分らしさが輝いていることです。

Q モデルみたいにスタイルが良くなきゃ、服は似合わない?
A スタイルが良いと、どんな服でも似合いやすいのは確かです。けれども、それぞれの体型のどこを生かせばいいかがわかれば、どんな体型の人でも似合う服は必ずあります。

Q やっぱり「男は中身」じゃない?
A 僕もそう思います。ただ、中身をきちんと外見に反映させてこそ、中身をより上手に知ってもらえるのではないかと思います。

顔が良くなければ、スタイルが良くなければ、お金を持っていなければ、センスを持っていなければ、ファッションは楽しめないんじゃないか……。私たちが抱きがちなコンプレックスが、こんなふうに解決されていく。「容姿が優れている人の優越性」もある程度は認めながら、楽観的にも悲観的にもなりすぎない。個人的には、これがなんとも心地よい。

そのほか後半のページでは、初心者でも着こなしやすいアイテムが具体的に提案されている。たとえば靴ならドクターマーチン、パンツならリーバイスの501XXを選んでおこう、ってな感じで。

ドクターマーチンもリーバイスも、あまり神経質に手入れをしなくてよいアイテムだ。ファッション初心者は、服の管理にあまり時間をかけない。というか、かけ方がわからない。

だからイイ感じの一張羅を買っても、すぐダメにしてしまうことがある。そういう性質のことも、高村氏はきちんと把握してくれている。安心して頼ってほしい。

私なりの解決策②

あとは私がよくやる手だが、Google画像検索」に頼るというのがある。
たとえば「20代 男性 フォーマル ファッション 2017」とかで検索するわけだ。

そうすると、そりゃあもう、様々な画像がヒットする。しかしビャーっと眺めていると、なんだかその共通点がつかめてくる。「なるほど、ジーンズじゃなくて黒いズボンを履けばいいのかな」とか、「こういう形の上着を買えばいいのか」とか。

そういう傾向をつかんで、なおかつ「ジャストサイズ」を狙っておけば、少なくとも及第点ファッションには到達できるだろう。このとき、ついつい見落としがちなのが「カバン」と「靴」なので、そこも忘れずに把握しておきたい。

結論

何度も書いているように、ファッションは「自分のためのもの」だ。

オタクの中には、「世間」からの目が怖くなってしまっている人も多いと思う。こんな服を着たら笑われるかなとか、ダサいのかなとか。少なくとも私はそうだったし、実際に笑われたこともある。本当に恥ずかしくて、しばらくの間、「変身してやろう!」なんて前向きな気持ちにはぜんぜんなれなかった。

しかし、そうやって逃避を続けていると、だんだんと態度が頑なになる。

「xxなんてDQNの聴く音楽だろwww」
「こんな服着てるやつ、だいたい大学でイキってるよなwww」

こんな調子で、「流行り」「世間」をバカにするようになってくる。これはかつて、自分がされたことと同じではないだろうか。だとすれば、あまり望ましくない状況だと私は思う。

もちろん、時流を知った上で「乗らない」という選択肢を取るならば、それは素敵だ。
「世間はゴチャゴチャ言ってるが、俺は死ぬまでアディダスの財布を使うぜ」ってな調子なら、何も恥じることはない。私はそういう人を尊敬する。

しかしもし、「わからないから、何となく逃げている」状況ならば、ちょっとだけ勇気を出して変わってみてほしい。

体感的にわかったことだが、世間は思った以上に「プラスのフィードバック」をくれる。
「マイナスのフィードバック」は、まず、こない。「その化粧、似合ってないね」なんて言ってくれるのは、家族か恋人か親友だけだ。その一方で、「その髪型いいじゃん!」「そういうテイストの服も似合うね」ってな言葉は、びっくりするほどたくさんもらえる。

そうすると、「じゃあ次はこれに挑戦してみようかな」といったモチベーションにもつながってくる。ほんの少しの勇気を出して変わってみるだけで、自分がどんどんよくなる好循環に身を置くことができるのだ。

自分らしく服を楽しむ人は、輝いている。そんな素敵なあなたに会いたい。だからこの記事を書いた。どうか街に、素敵な人が一人でも増えますように。

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*1:勢いで「増えてきた」と書いたが、思えば昔からそういうのはあった気もする。

*2:もちろん実際はもっと複雑だが、わかりやすく簡略化した。