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大学院生のブログ

人生まるごと今後の課題

君は大学の敷地内を歩くニワトリを見たことがあるか

私はある。

大学院へ入学が決まり、新居を探しに京都へきたある日のこと。両親が「お前の入る大学やねんさかい、ちょっとくらい見てから帰るわ」とか言い出した。そこで豪華絢爛な正門を見せてやれば、うちの両親も気分よく、大学名の前で写真をとり、クスノキ前で写真を撮り、カフェテリアで総長カレーを食って田舎へ帰っていたことだろう。しかし悲しいかな、私は面倒臭がり。正門ではなく、新居近くの裏門を案内してしまった。そこには何があるか?そう、吉田寮だ。

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吉田寮が建てられたのはまさかの大正2年(1913)。いろいろと長い歴史があるらしいが、いちいち書いていられないので割愛。詳細はWikipediaを見よ。最近では森見登美彦四畳半神話大系』のオープニングロケ地にも使われたことで有名になった。京都大学のスラム」「そこだけ雰囲気が東南アジア」などとメチャクチャ言われている節があるが、れっきとした現役の学生寮である。

ちなみに私自身は弟と二人暮らしだったというのもあり、吉田寮生にはまだなったことがない。弟が就職して同居解消となったとき、一度は面接を受けることも考えたのだが、その前にものすごい格安物件(「一棟」借りて1万2000円)と出会ってしまい、そこに落ち着いてしまった。

ただ、いろいろあって吉田寮界隈とつながりができたことで、たまにパーティに呼ばれたり中庭のゲルでうだうだしたりカオスな居酒屋でうだうだしたりしている。たとえるならバンドのサポートメンバー、そのくらいの距離感。そんな感じかもしれない。

さてこの吉田寮には生き物がいる。何を隠そう、私は院試を受けた時点で吉田寮アニマルの洗礼を受けた。院試が行われた建物と吉田寮は隣り合わせに立っていて、受験生はみな、ピリピリとしたムードで中庭にたまっている。単語帳を開く者、専門の概論書を開く者、ただぼうっと虚空を見つめる者。そしてその間をさっそうと歩くニワトリ
えらいところに来てしまった、多くの受験生はそんな感想を抱いたに違いない。少なくとも、うちの両親はそう思ったという。

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さてこのニワトリ、あとから知ったところによると、ペットではなく食料だという。吉田寮ではニワトリだけでなく、あひる、ヤギ、エミューなども飼育されているが、それらは全て「喰われる」運命なのだそう。内部生によれば、「たまにニワトリの生んだ卵とか売ってるよ」「ヤギパーティとかやるよ」とのこと。生と死の空間が遠ざけられ、食物の循環を体感しない現代っ子にはショッキングすぎやしないだろうか。

動物たちは中庭で飼育されている。エミューは鳥舎?っていうのかな、小屋の中にいる。ヤギは学内のいろいろなところに繋がれて、草を食んでいる。一度、夜中に研究室へ行こうとしたら、暗闇から「メエエエエエエエエッッ!!!!!!!!」と声が聞こえてきて失禁するかと思った。その日のエサ場は、研究室の前にある草むらに設定されていたらしい。丑三つ時の夜に轟く「メエエエエエエエエッッ!!!!!!!!」の声。ちなみに、帰るときにはヤギが1匹増えていた。

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いっぽう、ニワトリはけっこう自由に歩き回っている。大学沿いに走っている東大路通をふつうに歩いている姿も見たことがある。交通事故に遭ったりしないのだろうかと心配になるが、散歩(?)を終えると、まるで自分の家を分かっているかのようにプラプラと歩いて帰っていく。自分が喰われる場所に帰るってどういう気持ちなんだろう。聞いてみたい気もするけれど、「なんでいずれ死ぬのに生きるんですか?」に通じるものがありそうで、怖くて聞けない。

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